大人の歯列矯正の始め方と流れ〜初診から治療完了まで
「歯並びを良くしたいけど、矯正治療はどうやって始めればいいのかわからない…」
歯並びやかみ合わせの悩みを抱えながらも、矯正治療の第一歩を踏み出せずにいる方は少なくありません。特に大人になってからの矯正は、費用や期間、見た目の変化など、さまざまな不安が付きまとうものです。
浅草橋駅前歯科 矯正歯科の院長として、日々多くの患者様の歯並びの悩みに向き合っております。大人の矯正治療は思い立ったその日からすぐに始められるわけではなく、いくつかのステップを踏む必要があります。
この記事では、大人の歯列矯正を始めるための流れを、初診から治療完了まで詳しく解説いたします。矯正治療の全体像を把握することで、不安を解消し、安心して治療に臨めるようになっていただければと思います。
目次
大人の歯列矯正を始めるタイミングと準備
「大人になってからでも矯正治療は効果があるの?」と疑問に思われる方もいらっしゃるでしょう。
結論からお伝えすると、大人の歯列矯正はいつからでも始めることができます。小児矯正とは異なり、成長過程に合わせた最適なタイミングというものはありません。歯の成長が完了している成人の場合、いつ始めても問題なく治療が可能です。
早く始めた方が、早く治療が完了し、正常で健康なかみ合わせを手に入れることができます。大人の矯正は「いつ始めるか」ではなく「いつまでに完了したいか」という観点から計画を立てるとよいでしょう。
例えば、結婚式や就職活動など、人生の重要なイベントがある場合は、そのタイミングに合わせて逆算して治療を始めることをお勧めします。
大人の矯正治療を始める前に、以下の準備をしておくとスムーズです。
- 治療費の準備(分割払いなどの確認)
- 定期的な通院時間の確保
- 虫歯や歯周病の治療を完了させておく
- 矯正装置装着後の生活変化への心の準備
特に虫歯や歯周病がある場合は、矯正治療の前に治療を完了させることが重要です。健康な歯と歯茎の状態が、矯正治療の成功の土台となります。
初診相談から治療開始までの流れ
初診から実際に矯正装置をつけるまでには、いくつかのステップがありますので、そちらを解説していきます。
1. 初回相談・カウンセリング
まずは「初回相談」の予約をして歯科医院を受診します。ここでは、あなたの歯並びの悩みや希望をしっかりとお聞きします。
「前歯が出ている」「歯がガタガタしている」「かみ合わせが気になる」など、具体的な悩みをお伝えください。また、「マウスピース矯正を希望している」「目立たない矯正装置がいい」といった希望もこの段階で伝えていただくことで、希望を考慮して説明いたします。
当院では、患者様のライフスタイルや希望を尊重し、最適な矯正方法をご提案しています。初回相談では、矯正治療について全然知識のない方は、そもそもの基本から説明して、その後、患者様の歯並びに応じて詳しく説明していきます。
初回相談の段階でもある程度、どのような矯正治療が良さそうか、費用や期間もお伝えすることが可能です。

2. 精密検査
初回相談の後、矯正治療を前向きに考えていく場合は精密検査を行います。
レントゲン撮影、口腔内写真の撮影、歯型の採取などを通じて、現在の歯や顎の状態を正確に把握します。当院では歯科用CTやアイテロなどのデジタル設備を活用し、3次元の画像で歯並びや歯周組織の状態を確認しています。
検査にかかる時間は約1時間程度で、費用は保険適用外となります。この精密な検査データが、あなたに最適な治療計画を立てる基礎となります。
歯並びが乱れている場合、歯そのものだけでなく、歯を並べるスペースが足りなかったり、かみ合わせが正しくなかったり、顎の骨のバランスが崩れていることが原因となっていることも珍しくありません。そのため、歯列と骨格の両方を詳しく検査することが重要です。
3. 診断・治療計画の説明
検査結果をもとに、詳細な診断と治療計画の説明を行います。
ここでは、現在の歯並びの状態と問題点、それに対する治療方法を再度ご説明します。マウスピース矯正(インビザライン)や表側矯正、裏側矯正など、あなたに適した矯正方法の提案や、抜歯の必要性、治療期間、費用などについて確認していきます。もともと初回相談で話していた内容と変更があれば、再度詳しくご説明します。
不安や疑問があれば、この段階でしっかりと確認しておくことが大切です。当院では、レントゲン写真やシミュレーションなどの検査結果をモニターに映して視覚的にわかりやすい説明を心がけています。
4. 前準備(必要な場合)
治療計画に同意していただき、矯正治療の申し込みといよいよ治療が始まります。
いきなりワイヤーをつけていく事もあれば、矯正装置を装着する前に前準備が必要な場合があります。
例えば歯と歯の間に隙間を作るためのゴムリングの挿入や、矯正装置を作るための歯型採取などを行いう事もあります。また、治療計画によっては、装置をつける前に抜歯が必要な場合もあります。
どうして抜歯が必要なの?と不安に思われる方もいらっしゃいますが、事前に十分説明をしております。歯を並べるスペースを確保するために必要な場合があります。ただし、やみくもに抜くわけではなく、当院では可能な限り抜歯を避ける治療計画を心がけています。
矯正装置の種類と特徴
矯正装置には様々な種類があり、それぞれに特徴があります。あなたの歯並びの状態や生活スタイル、予算に合わせて、また歯並びによって最適な装置を選ぶことが大切です。
表側矯正(ブラケット矯正)
最も一般的な矯正方法で、歯の表側に金属やセラミックのブラケットを装着し、ワイヤーを通して歯を動かします。
- メリット:基本的にどんな症例にも対応可能、調整の自由度が高い、比較的費用が抑えられる
- デメリット:装置がやや目立つ、食べ物が挟まりやすい、歯磨きが難しくなる
最近では、従来の金属製ブラケットだけでなく、白いセラミック製のブラケットも選べるようになり、見た目の印象がだいぶ改善はされています。
裏側矯正(舌側矯正)
歯の裏側(舌側)にブラケットを装着する方法です。
- メリット:外からほとんど見えない、基本的にどんな症例にも対応可能
- デメリット:装置が舌に当たって違和感がある、発音しづらい、費用が高い
見た目を気にする方に人気ですが、慣れるまで舌に違和感があり、発音にも影響することがあります。話すのがかなり辛いとおっしゃられる方も多く、注意が必要です。
マウスピース矯正(インビザライン)
透明なマウスピースを使って歯を少しずつ動かしていく方法です。
- メリット:ほとんど目立たない、取り外し可能、歯磨きがしやすい
- デメリット:複雑な症例にはやや不向き、自己管理が必要、費用がやや高い事が多い
1日20時間以上装着する必要がありますが、食事や歯磨きの際に取り外せるため、衛生的に使用できます。
当院では、他院でマウスピース矯正を断られた方でも対応可能な場合があります。一人ひとりの症例に合わせて、最適な矯正方法をご提案しています。

矯正治療中の流れと注意点
矯正装置を装着してからが本格的な治療のスタートです。ここからは、治療中の流れと注意点について説明します。
1. 矯正装置の装着
装置の種類によって装着方法は異なりますが、ワイヤー矯正の場合は約1時間ほどかけてブラケットを個々の歯に装着し、その後ワイヤーを通します。マウスピース矯正の場合は、装着方法や使用ルールの説明を受けてスタートします。
装置装着後は、違和感や軽い痛みを感じることがありますが、数日から1週間程度で慣れてきます。
痛みが強い場合は無理せず歯科医院に相談してください。当院では、なるべく痛みが少なくすむように、事前のコミュニケーションや細かな配慮をいたしております。
2. 定期的な通院と調整
装置を装着した後は、定期的な通院が必要です。
ワイヤー矯正の場合は4〜6週間に1回程度、マウスピース矯正の場合は1〜2ヶ月に1回程度の通院で、装置の調整や歯の動きの確認を行います。
定期的な調整は治療の成功に不可欠ですので、必ず予約日に通院するようにしましょう。
3. 口腔ケアと食事の注意点
矯正治療中は、通常よりも丁寧な歯磨き、口腔ケアが必要です。特にワイヤー矯正の場合、装置の周りに食べ物が挟まりやすく、しっかり磨けていないと虫歯や歯周病のリスクが高まります。
当院では、矯正装置装着後に歯磨き指導を行い、装置に合った効果的な歯磨き方法をお伝えしています。また、定期的なクリーニングも重要です。
食事については、ワイヤー矯正の場合、硬いものや粘着性の高い食べ物は装置を損傷させる可能性があるため注意が必要です。マウスピース矯正の場合は食事の際に装置を外すため、食事制限はありませんが、装着時間を守ることが重要です。
「矯正治療中に気をつけるべき食べ物は本当にありますか?」
はい、特にワイヤー矯正中は注意が必要です。硬い食べ物(せんべい、固いパン)、粘着性の高い食べ物(キャラメル、餅)、前歯でかじる食べ物(りんご、とうもろこし)などは、ブラケットが外れたりワイヤーが変形したりする原因になります。
治療期間と費用の目安
矯正治療にかかる期間と費用は、歯並びの状態や選択する矯正方法によって異なります。ここでは一般的な目安をご紹介します。
治療期間の目安
大人の矯正治療の期間は、一般的に1〜3年程度が目安です。ただし、症例の難易度によって変わります。
- 軽度の歯並びの乱れ:約半年〜1年
- 中程度の歯並びの乱れ:約1〜1.5年
- 重度の歯並びの乱れや骨格的な問題:約2〜3年以上
マウスピース矯正は、適応症例であれば従来のワイヤー矯正よりも治療期間が短くなる場合もあります。
治療期間は個人差が大きいため、正確な期間は精密検査と診断の後にお伝えすることになります。
費用の目安
矯正治療は基本的に自費診療となり、保険適用外です。費用は矯正方法や症例の難易度によって異なります。
- 表側矯正(金属ブラケット):約50〜80万円
- 表側矯正(セラミックブラケット):約60〜90万円
- 裏側矯正:約80〜150万円
- マウスピース矯正:約50〜100万円
上記の費用には、装置代、調整料、保定装置などが含まれている場合と、そうでない場合があるので、相談に行く歯科医院ごとにしっかりと確認する必要があります。また、矯正前の虫歯治療や歯周病治療、抜歯が必要な場合は別途費用がかかります。
当院ではまとめての支払いが難しい方には、分割払いにも対応していますので、ご相談ください。
治療完了後の保定期間について
矯正治療が終わり、装置を外したらそれで終わり…というわけではありません。実は、この後の後戻りを防ぐための「保定期間」が非常に重要です。
保定装置の役割
歯並びが整い装置を外した後は、歯が元の位置に戻ろうとする力(後戻り)が働きます。この後戻りを防ぐために、保定装置(リテーナー)を装着します。
保定装置には、取り外し式のプレートタイプ、マウスピースタイプ、歯の裏側に固定するワイヤー式のものがあります。症例に応じて最適な保定装置を選択します。
保定期間は一般的2年程度ですが、場合によってはそれ以上の期間、就寝時のみ装着を続けることもあります。

保定期間中の通院
保定期間中は、3〜6ヶ月に1回程度の通院で、歯の安定性を確認します。保定装置の調整が必要な場合もあります。
保定装置の使用を怠ると、せっかく整えた歯並びが崩れてしまう可能性があります。医師の指示に従って、しっかりと保定装置を使用することが大切です。
矯正治療は保定期間まで含めて一連の治療と考えましょう。
大人の矯正治療のメリットとデメリット
最後に、大人の矯正治療のメリットとデメリットについてまとめます。
メリット
大人の矯正治療には、見た目の改善だけでなく、多くのメリットがあります。
- 見た目のコンプレックスが解消される
- 歯の重なりがなくなり、磨きやすくなることで虫歯や歯周病のリスクが減少する
- かみ合わせが改善され、顎への負担が軽減し、顎関節症などの問題が解消される
- 発音や咀嚼機能が向上する
- 口元の印象が良くなり、自信につながる
歯並びを整えることは、単なる見た目の問題だけでなく、お口の健康維持にも大きく貢献します。
デメリット
一方で、以下のようなデメリットも考慮する必要があります。
- 治療期間が長くかかることがある(約2〜3年)
- 費用がそれなりにかかる(自費診療)
- 装置による違和感や痛みがある
- 口腔ケアに時間と手間がかかる
- 定期的な通院が必要
これらのデメリットはありますが、長期的な健康と美しさを考えると、投資する価値は十分にあると言えるでしょう。
まとめ
大人の歯列矯正は、いつからでも始めることができます。治療の流れとしては、初回相談、精密検査、診断・治療計画の説明、前準備、矯正装置の装着、定期的な通院と調整、そして保定期間という段階を踏みます。
治療期間は一般的に1〜3年程度、費用は矯正方法によって異なりますが、50〜120万円程度が目安です。
矯正治療には時間とコストがかかりますが、美しい歯並びと健康的なかみ合わせを手に入れることで、生涯にわたる価値をもたらします。
当院では、患者様一人ひとりの状態や希望に合わせた最適な矯正治療をご提案しています。歯並びやかみ合わせでお悩みの方は、まずは無料矯正相談にお越しください。
詳しくは浅草橋駅前歯科 矯正歯科のホームページをご覧いただくか、お電話でお問い合わせください。
