矯正後にできた隙間…ブラックトライアングルの改善/20代女性/原因と治療法の解説/台東区浅草橋・秋葉原の矯正歯科
長い間頑張って矯正治療が終わり「きれいな歯並びになった!」と喜んでいたのに、ふと鏡を見てみると、歯と歯の間に黒いすき間ができ、今度はそれが気になってしまう方も多いかと思います。
この黒いすき間は、黒い三角形のように陰になって見えるので、「ブラックトライアングル」と呼ばれます。これは矯正後に目立つようになることがあります。ブラックトライアングルは見ためが気になるだけでなく、食べ物が詰まりやすくなるなど、色々と悩みの原因となる場合があります。
今回はそうしたブラックトライアングルが気になってきた方に、ブラックトライアングルとは何か、なぜできるのか、どんな治療方法があるのかを実際の治療例を交えて、わかりやすく解説していきます。
矯正後の見た目や口元に違和感のある方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
治療に当たる前の相談
患者さんの悩み
矯正して綺麗な歯並びになった事はすごく満足している。ただ、下の前歯に隙間ができてきて、すごく目立ってしまう。せっかく綺麗になったのに、笑って歯を見せることに抵抗をもってしまうので、何とかしてほしいとの事でした。
患者さんの希望
できるだけ下の歯の隙間を目立たないようにしてほしい。できるだけ歯を削ったりはしない方法で治してほしい。
問題点
下の前歯の間にブラックトライアングルと呼ばれる隙間が、3か所目立つようにできてしまっています。
ブラックトライアングルの大きさもそれなりに大きいので、しっかりとした改善が必要になります。
ブラックトライアングルとは?
ブラックトライアングルとは、歯と歯の間の歯ぐきが下がることで、三角形のすき間が黒く陰になって見える状態の事をいいます。
見た目の特徴としては、
歯と歯の間に三角形の黒いすき間ができる
特に前歯で目立ちやすく、笑ったときに気になりやすい
特に矯正後の場合は、せっかく綺麗な歯並びになったのに、見た目のコンプレックスが改善されず、矯正治療を喜べない原因になります。
よくある患者さんの声
「矯正して歯はきれいに並んだけど、隙間ができて気になる」
「黒いすき間のせいで、かえって見た目が悪くなった気がする」
「笑ったときにすごく目立ってしまい、結局歯を見せて笑えない」
このように、ブラックトライアングルで悩まれ、相談する患者様は多く、適切に改善してあげることが望まれます。
なぜブラックトライアングルはできるのか?
歯の形が原因
歯の大きさや形は人によって様々です四角形に近い歯の形をしていれば、歯はぴったりくっつくので、ブラックトライアングルは生じません。しかしながら、大体の日本人の前歯の形は、歯の根元になるにつれて細くて三角形に近い歯(テーパード型)であり、隣り合う歯と接する面積が小さいため、歯茎が下がってしまうと三角形のすき間ができやすくなります。
歯を支えている周りの骨の減少
年齢とともに歯周病が進むことで、歯を支えている周りの骨(歯槽骨)が少なくなると、その上にある歯ぐきも下がってきます。これにより、歯ぐきが歯と歯の隙間を埋められず、ブラックトライアングルができてしまうのです。
歯ぐき(歯肉)の位置の変化
矯正治療によって歯の位置が動くことで、歯ぐきの形や高さも変化していきます。10代など若いうちの矯正治療であれば、動いた歯の位置に歯ぐきがついてくることもありますが、大人の矯正治療になると、なかなか十分に歯茎がついてくることはなく、むしろ歯肉退縮と呼ばれ、少し歯茎が下がってしまうことの方が多くあります。歯茎が下がってしまうと、ブラックトライアングルは目立ってしまいます。
歯並びの改善による副作用
三角形の歯をしていても、歯並びが悪く重なっていればブラックトライアングルは目立ちません。しかしながら、矯正治療によって以前は重なっていた歯が綺麗に並ぶことで、隠れていた歯の形が表に出て、ブラックトライアングルが目立つようになってしまうのです。
ブラックトライアングルを放置すると…
「見た目がちょっと気になるけど、痛くもないし放っておいても大丈夫?」
実はブラックトライアングルは、見た目だけの問題ではありません。 放置することで、口腔内の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
食べかすやプラークがつきやすくなる
ブラックトライアングルのすき間は、歯ブラシが当たりにくく、食べかすが残りやすい場所です。そこにプラーク(歯垢)がたまり放置されると歯石となり、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
歯ぐきがさらに下がってしまう可能性
プラークや歯石の蓄積によって歯茎に炎症が起きると、歯ぐきがさらに痩せて下がっていってしまいます。歯肉退縮が進むと、ブラックトライアングルはさらに広がってしまう悪循環に陥る可能性があります。
見た目の印象が悪化する
前歯のすき間は、話しているときや笑ったときに意外と目立ちます。ブラックトライアングルが大きくなると、老けた印象や不健康なイメージを与えてしまうこともあります。
発音に影響を及ぼす場合もある
前歯の隙間があまりのも大きいと、空気が漏れやすくなり、「サ行」や「タ行」などの発音に影響することがあります。
精神的なストレスになる場合もある
「笑うのが気になる」「人前で話すのが恥ずかしい」といった心理的なストレスが蓄積されてしまうこともあります。見た目のコンプレックスは、日常生活にも影響を与えることがあります。
ブラックトライアングルの治療法
ブラックトライアングルにはいくつかの治療法があります。原因や状態によって適した方法が異なりますので、代表的な治療法をご紹介していきます。
①歯の形を修正して寄せる【IPRインタープロキシマルリダクション】
矯正中にブラックトライアングルが目立ってきてしまった場合の、第一選択となります。
歯の形態がブラックトライアングルの原因になるので、歯と歯が膨らんで接している部分をわずかに削って、全体を寄せることでブラックトライアングルを減少させます。
メリット
矯正中であれば特に追加の費用はかからない事が多い。
痛みもなく手軽に処置ができる。
デメリット
IPRが入れられる(歯を削れる)量には限界があるので、ブラックトライアングルをましにはできる事は多いですが、重度なケースではIPRだけで完全に目立たなくさせる事はできません。
削った後、歯を動かして寄せる必要があるので、矯正が終わった後だと難し場合が多いです。
続いては基本的に矯正終了後に目立ってしまっているブラックトライアングルの治療法になります。
②下がった歯ぐきを回復させる【歯肉移植術】
上あごの内側などから健康な歯肉を一部採取し、すき間のある部分に移植する方法です。歯周病の治療などにも用いられ、歯周外科と呼ばれます。
メリット
歯ぐきが下がっている場合に効果的である。
知覚過敏など、歯がしみてる症状を伴う場合も改善できる場合が多い。
デメリット
手術が必要なため、やや大がかりになる。多少の痛みを伴う。
基本的には自費治療になる。技術が必要なので、行える歯医者さんが限られる。
移植術がうまくいっても、歯ブラシなど術後のケアがうまくいかないと、歯ぐきはまた下がってしまう。
③歯の形を修正しつつ隙間を埋める【ダイレクトボンディング】
歯と同じ色の樹脂(コンポジットレジン)を歯の横に直接盛り足して、すき間を目立たなくする方法です。
メリット
基本的には1回の治療で見た目が改善される。
歯をほとんど削らずに治療可能。まったく削らなくても可能(外れやすそうな場合要相談)
痛みを感じることがない。
デメリット
技術が必要なため、下手な先生がやると綺麗にならない。
自然な仕上がりになるが、年数がたつと、経年劣化や着色により目立つようになる。
何かの拍子に詰めたものが外れてしまう事がある。一生持つわけではない。
保険適用外のため費用がかかる。
④歯の形そのものを変える【セラミックによるべニアやクラウン治療】
歯の表面を少しだけ削り、薄いセラミックの板(ラミネートべニア)を貼ることで形を整える方法です。場合によってはクラウン(被せ物)にすることもあります。
メリット
自然で美しい仕上がり
強度・耐久性が高く、変色はほぼおきない
デメリット
歯を削る必要があることが多いため、将来的にしみやすくなるなどのリスクは多少上がってしまう。
しっかり磨けてないと、被せものとの境目から将来むし歯になる可能性がある。
保険適用外のため費用は高めとなる。
ブラックトライアングルの状態や原因は人それぞれです。
適した方法で治療しないと、後々また問題がおきてトラブルになる場合があります。
まずは歯科医師による診察とカウンセリングを受け、あなたに合った治療法を一緒に考えることが大切です。
ダイレクトボンディングによる治療
今回の患者様は、大きめのブラックトライアングルを改善する必要があるものの、歯を削らず治す事を希望されたため、ダイレクトボンディングによる治療を選択しました。
3か所のブラックトライアングルはまとめて1度に治しました。
特に歯を削らないため、麻酔をすることもなければ、痛い思いをすることもありません。
治療後の感想
「矯正後どうしてもブラックトライアングルが気になっていましたが、今回治療していただいて綺麗になった事で、自信をもって笑って歯を見せる事ができるようになりました」とすごく喜んでいただけました。
治療期間
1度の来院で終了
(治療カウンセリング→治療となる場合、2回ほど来院が必要になる可能性はあります)
治療費用
99000円(税込み) ブラックトライアングル1か所33000×3
これから治療を行う方に関しての費用は、治療費のページを参考にしてください。
https://www.asakusabashi-dental.com/cost/
ブラックトライアングルの予防と再発防止
せっかく綺麗にしたブラックトライアングルの再発を防ぎ、長く美しさと健康を保つためには、日々のケアと習慣がとても大切です。
正しいブラッシング
歯ぐきを傷つけないように、やさしく・ていねいに磨くことが基本です。とくに歯の間に汚れがたまりやすいので、歯間ブラシやデンタルフロスの併用がおすすめです。
定期的な歯科検診とクリーニング
ブラックトライアングルの原因になりやすい歯周病の予防にもつながります。3〜6ヶ月ごとの定期的な歯科検診を習慣にしましょう。
執筆者
浅草橋駅前歯科 矯正歯科院長
歯科医師 遠山雄太
インビザライン 認定ドクター
国際口腔インプラント学会 認定医